水道水の安全は当たり前と思われがちですが、築古の賃貸住宅では配管の老朽化による水質問題が発生することがあります。本記事では、賃貸住宅の飲料水リスクと安全確認の方法を詳しく解説します。
老朽配管による水質問題とは
1980年代以前に建てられたマンションやアパートでは、亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)が給水管に使用されているケースがあります。この配管は年月とともに内部が錆び、水に鉄分や重金属が溶出することがあります。
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錆による主な症状は「赤水」「茶色い水」として現れます。朝一番や長時間水を使わなかった後に蛇口から赤みがかった水が出る場合は、配管内の錆が疑われます。少量であれば流し続けることで改善しますが、慢性的な場合は配管自体の問題です。
また、受水槽(タンク)を使って各戸に給水するタイプの建物では、受水槽の清掃状況が水質に大きく影響します。受水槽は年1回以上の清掃と水質検査が建物設備管理者に義務付けられていますが、適切に管理されていない場合は藻や異物が混入するリスクがあります。
レジオネラ菌は水中に生息する細菌で、肺炎(レジオネラ肺炎)を引き起こすことがあります。特に免疫力が低下した高齢者や基礎疾患がある方では重症化しやすく、死亡例もあります。
レジオネラ菌が問題になりやすいのは、浴槽の循環風呂・シャワーヘッド・冷却塔といった機器です。シャワーヘッドは内部に水垢やバイオフィルムが蓄積すると菌が繁殖しやすくなります。入居時やしばらく使用しなかった後は、シャワーヘッドを取り外して浸け置き洗いを行い、初回は十分に流してから使用することが推奨されます。
賃貸住宅に入居前または入居直後に飲料水の安全を確認するための具体的な手順を紹介します。
目視・臭いチェック:朝一番に蛇口から流れる水の色と臭いを確認します。透明で無臭なら問題ありません。黄色味や鉄臭・カビ臭がある場合は要注意です。
市販の水質検査キット:ドラッグストアやオンラインショップで1,000〜3,000円程度で購入できます。pH・残留塩素・硬度・鉛・鉄などを簡易測定できます。残留塩素の目安は0.1mg/L以上が水道法の基準値ですが、極端に低い(0.1未満)または高い(2.0以上)場合は異常の可能性があります。
自治体への水質情報照会:各自治体の水道局はウェブサイトで定期的な水質検査結果を公表しています。配水区域別のデータを確認できる場合もあります。
専門機関への依頼:より詳細な検査が必要な場合は、民間の水質検査会社に依頼することができます。費用は1万〜3万円程度で、鉛・ヒ素・農薬などを含む詳細分析が可能です。
水質に問題があると判断した場合は、管理会社または大家に報告して対応を求めます。賃貸物件の給水設備の維持管理は貸主(大家)の義務であり、借主は修繕を要求する権利があります(民法606条)。
報告の際は、問題が発生している具体的な状況(いつ・どの蛇口から・どのような状態の水が出るか)と写真・動画を添えて書面で連絡するのが効果的です。
受水槽の清掃実施記録や水質検査記録の開示を求めることも可能です。特定建築物(延べ面積3,000㎡以上など)では建築物衛生法に基づく定期検査が義務付けられており、その結果を確認できます。
管理会社が対応しない場合は、自治体の保健所または建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)窓口に相談する方法もあります。
水質に不安がある場合や、より安全な飲料水を確保したい場合は浄水器の導入が有効です。
蛇口直結型(アンダーシンク型を含む):最も一般的なタイプで、塩素・有機物・重金属をある程度除去できます。フィルターの定期交換(6か月〜1年)が必要です。
据置型(ポット型):設置が簡単で費用も安いですが、処理量が少なく、フィルター交換の頻度が高めです。
逆浸透膜(RO)浄水器:ほぼすべての不純物を除去できる高性能タイプです。設置工事が必要で初期費用が高め(10万〜20万円)ですが、賃貸でも設置可能なコンパクト型もあります。導入前に管理会社への確認が必要です。
賃貸では原状回復を考慮すると、蛇口直結型または据置型が現実的な選択肢です。
賃貸住宅の水質問題は見えにくいリスクですが、特に築古物件では無視できません。入居時に目視・臭気チェックと簡易水質検査を行い、問題があれば管理会社に対応を求めましょう。飲料水の安全を確保するための浄水器導入も、安心した賃貸生活を送るための有効な手段です。
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