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床スラブ厚と上階の足音問題——賃貸で「ドン」という衝撃音が響く構造的な理由と物件選びのポイント

2026-07-23

上の階から「ドン」「ドタドタ」という足音が聞こえる問題は、床スラブの厚みに深く関係しています。なぜスラブ厚が防音性能を左右するのか、物件選びでどう活用するかを解説します。

床スラブ厚と上階の足音問題——賃貸で「ドン」という衝撃音が響く構造的な理由と物件選びのポイント
#床スラブ#防音#足音#建物構造#RC造#衝撃音#騒音
森

監修: 森 信幸エムアセッツ株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士(宮城県 第018212号)

目次

  1. 01床スラブとは何か
  2. 02スラブ厚の目安と防音性能
  3. 03スラブ厚だけが全てではない
  4. 04賃貸物件でスラブ厚を調べる方法
  5. 05まとめ

賃貸マンションで生活していて「上の階の足音がうるさくて眠れない」「ドン!という衝撃音で毎晩起きてしまう」という悩みは非常に多く聞かれます。防音の問題は隣の部屋からの声(空気伝搬音)だけでなく、床から伝わる足音(固体伝搬音・衝撃音)の問題が深刻なケースが少なくありません。この足音問題に深く関わっているのが「床スラブの厚さ」です。

床スラブとは何か

RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造の建物では、各階の床と天井はコンクリートの板(スラブ)一枚で作られています。上の部屋の床スラブが、下の部屋の天井スラブでもあります。このスラブの厚みが「床の防音性能」に直結します。

スラブの厚みが厚いほど、コンクリートの質量が増え、衝撃が伝わりにくくなります。つまり、スラブが厚い物件ほど上階からの足音・衝撃音が下の階に伝わりにくい、ということです。

スラブ厚の目安と防音性能

スラブの厚みと防音性能の関係を理解するために、一般的な目安を示します。

スラブ厚多く見られる物件・年代足音・衝撃音の伝わり方
150mm前後1970〜1980年代に建てられたRC造マンション・古い物件
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上階の足音・衝撃音が伝わりやすい
180〜200mm1990〜2000年代のマンション150mmよりは改善されるが、重量衝撃音は伝わりやすい
200〜250mm2000年代以降の高品質マンション「上の階の足音がほとんど聞こえない」という体感を得られることが多い
300mm以上高級マンション・タワーマンション等日常的な歩行音は実用上ほぼ問題ないレベル

150mm前後(旧来のマンション・古い物件に多い)

1970〜1980年代に建てられたRC造マンションでは、スラブ厚が150mm程度のものが多くあります。コンクリートの質量が少ないため、上階の足音・衝撃音が伝わりやすく、特に子どもが走り回る音や重い物を落とした際の「ドン」という音が下の階に響きやすい傾向があります。

180〜200mm(1990〜2000年代のマンションに多い)

バブル期前後から増えてきたスラブ厚で、150mmよりは改善されていますが、衝撃音の伝搬はまだ起こりやすいです。この厚さの物件でも、軽量衝撃音(スプーンを落とした音など)はある程度吸収できますが、重量衝撃音(子どもの足音・成人の歩行音)は伝わりやすい。

200〜250mm(2000年代以降の高品質マンションに多い)

現代の分譲マンションでは200mm以上が標準的になりつつあります。スラブ厚が増えるほど重量衝撃音が伝わりにくくなり、この水準以上であれば「上の階の足音がほとんど聞こえない」という体感を得られることが多いです。

300mm以上(高級マンション・タワーマンション等)

高級分譲マンションやタワーマンションでは300mm以上のスラブが採用されることもあります。これほどの厚みになると、日常的な歩行音は実用上ほぼ問題ないレベルになります。

スラブ厚だけが全てではない

スラブの厚みは重要な指標ですが、足音問題に影響する要素はスラブ厚だけではありません。以下の要素も総合的に判断する必要があります。

ボイドスラブ(中空スラブ)の注意点

2000年代以降の物件では、スラブ内部に円筒形の空洞(ボイド管)を入れて軽量化した「ボイドスラブ」を採用する物件が増えています。ボイドスラブは見かけ上のスラブ厚が大きくなりますが、内部が空洞なため実質的なコンクリート量(質量)は中実スラブより少なくなります。ボイドスラブの物件では、カタログ上の「スラブ厚270mm」でも実際の防音性能は「中実スラブ200mm」程度である場合もあります。物件確認時には「スラブは中実スラブか、ボイドスラブか」も確認することをお勧めします。

二重床・二重天井の効果

床スラブの上に防振ゴムで支持した浮き床構造(二重床)を採用している物件では、スラブ厚が薄くても衝撃音の伝搬を抑える効果があります。同様に、天井をスラブから吊り下げた二重天井構造も有効です。ただし、施工精度が低い二重床では逆に共鳴して音が大きくなるケースもあるため、大手デベロッパーの分譲マンションと同等の品質管理がなされた物件かどうかが重要です。

上の階の床材(フローリングの種類)

上の部屋の床材がカーペットか、フローリングかによっても衝撃音の伝搬は大きく変わります。フローリングのみの床は衝撃をそのままスラブに伝えますが、制振・防音フローリング(LL-40等級以下の防音フロア)が使われている物件では、スラブに伝わる衝撃音が減衰されます。賃貸の場合は上の部屋の床材を自分で変えることはできませんが、管理会社に「全戸防音フローリング使用か?」を確認することはできます。

賃貸物件でスラブ厚を調べる方法

管理会社・仲介業者に直接確認する

最もシンプルで確実な方法です。「床スラブの厚さはどのくらいですか?」と聞いてみましょう。大手不動産会社や管理会社の場合、物件の設計仕様書から確認できることがあります。回答できない場合は「ボイドスラブか中実スラブか」だけでも確認しましょう。

建物の竣工年と建物種別から推測する

竣工年が2000年以降のRC造分譲マンション(管理組合あり)や大手ハウスメーカー・デベロッパーの物件であれば、スラブ厚が200mm前後以上の可能性が高いです。逆に、1980年代以前の建物や小規模な賃貸専用マンション(オーナーが1人で管理する物件)では、スラブ厚が薄い可能性があります。

内見時に上下の音を確認する

内見時に担当者に頼んで、上の部屋を歩いてもらうことはできませんが、内見中に自然に聞こえる音(他の入居者の足音・廊下の音など)を注意深く聞くことで、ある程度の防音性能を体感できます。エレベーターの稼働音、近隣室のドア開閉音なども参考になります。

まとめ

上階からの足音・衝撃音問題は、床スラブの厚さとその構造に根本的な原因があります。賃貸物件を選ぶ際には、次の点を総合的に確認することで、入居後の音トラブルリスクを大幅に下げることができます。

  • •スラブ厚(200mm以上が目安)
  • •ボイドスラブか中実スラブか
  • •二重床・二重天井の有無
  • •上の部屋の床材の種類

声(空気伝搬音)の防音は壁構造で、足音(固体伝搬音)の防音は床スラブで、という理解を持って物件選びに臨みましょう。

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