内見でいくら物件の中を確認しても、実際に住んでみないとわからないことがある。隣人トラブル・騒音・管理の質・設備の故障頻度——これらは視覚で確認しにくい問題だ。こうした「見えないリスク」を少しでも把握するための手段が、の退去理由を確認することだ。
不動産会社が配布する「マイソク(募集図面)」には、ポータルサイトに載らない詳細情報が詰まっている。マイソクと間取り図の読み方をマスターすれば、内見前に物件の良し悪しを見極める力が身につく。
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退去理由の開示は義務ではなく、不動産会社や大家が「転勤」「結婚」などの当たり障りのない理由しか教えてくれないことも多い。しかし、正直に答えてくれる場合もあり、得られた情報から物件の実態を推測する材料になる。
聞いて何も得られなくても失うものはない。内見時の会話の中で自然に聞いてみることをおすすめする。
担当者に退去理由を聞く際は、直接的に「なぜ前の人は出ていったんですか?」と聞いても問題ない。角が立つことを心配する必要はない。正当な質問として受け入れてもらえることがほとんどだ。
より自然な聞き方として、以下のような流れが使いやすい。
居住期間が短い(1〜2年以内)場合は、何らかの問題が原因で退去した可能性がある。一方、5年以上住んでいた場合は生活環境が安定していたことを示す。
最も多く聞かれる理由。前入居者の個人的な事情によるもので、物件の問題とは関係ない可能性が高い。ただし、あまりに頻繁に転勤退去が続いている建物は、企業系の短期入居が多いエリアで特有の需要があるだけかもしれない。
前入居者が値上げを断って退去した場合、現在の家賃設定が割高になっている可能性がある。近隣の相場をあらためて確認しておくとよい。また、値上げを理由に退去する入居者が続いているなら、大家の方針として家賃改定を積極的に行う傾向があると推測できる。
担当者が「騒音で退去した」と正直に教えてくれた場合は、重要な情報だ。騒音源が上下階・隣室・外部のどれかによって対策が異なる。建物構造(鉄筋コンクリート造か木造かなど)と合わせて判断しよう。
ただし、前の入居者が騒音に敏感なだけの場合もあるため、「どのような音が問題でしたか?」と具体的に掘り下げて聞くことが大切だ。
設備トラブルや、管理会社・大家の対応の遅さが原因で退去した場合、同じ問題が繰り返される可能性がある。担当者に「管理会社の対応はどうですか?」と聞いたり、物件の管理会社を調べて口コミを確認したりすることも有効だ。
この回答が多い場合、担当者が情報を持っていないか、開示をためらっている可能性がある。理由を明かせない特殊な事情(心理的瑕疵等)がある場合は、告知義務に関わる情報として別途説明を受ける場合がある。気になるなら「過去にトラブル等があった物件ですか?」と直接確認しよう。
退去理由とは別に、物件に「心理的瑕疵」がある場合、不動産会社には告知義務がある。心理的瑕疵とは、物件内や近隣で起きた死亡事故・自殺・事件などのことで、一定の基準に該当する場合は借主へ説明しなければならない。
告知義務のある情報は担当者から説明があるはずだが、「気になることがあれば教えてください」と事前に伝えておくことで、担当者も情報を出しやすくなる場合がある。
心理的瑕疵の告知義務には期間の目安があり(おおむね3〜5年程度が多いとされる)、期間を過ぎた後は説明されないケースもある。不安がある場合は「過去に何か告知が必要な事情はありましたか?」と聞いてみるとよい。
退去理由を聞いた上で、以下の情報も合わせて確認すると物件の実態をより立体的に把握できる。
内見は物件の見た目を確認するだけでなく、物件の「歴史」と「管理の質」を読み解く機会でもある。退去理由という一つの問いから、思わぬ情報が引き出せることがある。聞いてみる価値は常にある。
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