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賃貸の換気扇・レンジフードが動かない・異音がするときの修理費用は、経年劣化・自然故障なら原則貸主(大家)負担、清掃怠慢による故障は借主負担。異音(うるさい・キーン音)の原因別の負担区分、トイレ・浴室・キッチンの場所別チェック、寿命と交換費用、管理会社が直してくれない場合の家賃減額・自己修繕の手順まで国交省ガイドラインに基づき解説します。

監修: 森 信幸エムアセッツ株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
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換気扇やキッチンのレンジフードは、賃貸物件において修繕費用の負担をめぐるトラブルが多い設備のひとつです。その理由は、「通常の使用による消耗」と「借主の手入れ不足による汚損・故障」の境界線が曖昧になりやすいからです。
本記事では、修繕費用を誰が負担するかの判断基準を、国土交通省ガイドラインと民法の観点から整理します。
民法606条は、「賃貸人(貸主)は、賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負う」と定めています。つまり、設備が機能しなくなった場合の修繕は、原則として大家(貸主)の責任です。
ただし、同条は「賃借人(借主)の責めに帰すべき事由によって修繕が必要になったときは適用しない」とも定めています。借主が故意・過失によって設備を損傷した場合は、借主が費用を負担します。
費用負担の原則として、経年劣化による機能低下・故障と通常使用による自然な摩耗・消耗は貸主(大家)が負担します。一方、借主の不適切な使用・手入れ不足による故障と借主の故意・過失による損傷は借主が負担します。
換気扇とレンジフードは、定期的な清掃・フィルター交換が必要な設備です。国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では以下の整理がなされています。
借主負担(手入れ不足・過失)の例として、長期間清掃を怠ったことによる著しい油汚れの固着、フィルターの詰まりによるモーターへのダメージ、無理な操作や改造による破損が挙げられます。
特に注意が必要なのは「フィルター詰まりからの連鎖故障」です。定期的なフィルター清掃は借主の義務とされており、怠った結果としてモーターが焼き切れた場合は借主負担と判断されることが多くなります。
「動かない」より先に現れやすいのが異音です。音の種類である程度原因を切り分けられ、費用負担の目安も変わります。
| 音の種類 | 主な原因 | 費用負担の目安 |
|---|---|---|
| キーン・ブーンという高音 | モーター軸・ベアリングの摩耗(経年劣化) | 貸主負担が原則 |
| カタカタ・カラカラ | ファンの汚れ付着によるバランス崩れ・軸ズレ | まず清掃。改善すれば負担なし |
| ゴーという大きな風切り音 | フィルター・ダクトの詰まり | 借主の清掃で解消するのが基本 |
| ジー・ビリビリという振動音 | 本体・カバーの取付ゆるみ、部品の劣化 | 経年由来なら貸主負担が原則 |
対処の順序はシンプルです。まずフィルターとファンを清掃し、それでも音が続く場合はスマートフォンで音を録音してから管理会社に報告します。「いつから・どんな音が・どの頻度で」を伝えると、業者手配の判断が早くなります。
異音を放置するとモーターの焼き付きに進行し、「清掃していれば防げた」として負担争いになりやすい点に注意してください。異音の段階で報告した記録(メール)自体が、借主が適切に管理していた証拠になります。
| 場所 | よくある症状 | 対処のポイント |
|---|---|---|
| トイレ | 換気扇が回らない・ホコリ詰まり | カバーのホコリを清掃。24時間換気を止めると臭気・カビの原因に |
| 浴室 | 湿気によるモーター劣化・異音 | 天井埋込ダクト式が多く、内部分解は自分でしない(故障時は管理会社へ) |
| キッチン | レンジフードの油汚れ・吸引力低下 | フィルター清掃は借主の管理義務。月1回が目安 |
トイレ・浴室の換気扇は24時間回し続ける設計のものが多く、「電気代がもったいない」と止めてしまうと、カビ・結露による別の原状回復トラブルを招きます。回しっぱなしでも電気代は月数十円〜百円程度です。
賃貸物件に設置されている換気扇には主にいくつかのタイプがあります。タイプによって清掃方法と頻度が異なります。
羽根が直接見えるタイプ。比較的清掃しやすく、外側のカバーを外して羽根を取り出し、中性洗剤で洗います。目安は2〜3ヶ月に1回。
円筒形の細かい羽根が特徴で、油汚れが蓄積しやすいです。フィルターと内部ファンの両方を清掃する必要があります。月1回のフィルター清掃と、半年に1回程度の内部清掃が目安です。
フィルターが外しやすいデザインのものが多く、清掃頻度は同様です。フィルターを食洗機で洗えるタイプもあります。
どのタイプも、清掃記録(日付・写真)を残しておくと、退去時のトラブルに備えられます。
退去時の費用精算においても、換気扇周辺のトラブルは頻発します。
借主負担とされやすいケースとして、換気扇内部の油汚れが通常清掃では除去できないレベルに達している場合や、フィルターが黒くこびりつき使い捨てフィルターの交換を怠っていた場合があります。
貸主負担とされやすいケースとして、フィルターの標準的な汚れ・変色(通常使用の範囲内)や、ファン・本体の経年劣化による変色・素材劣化があります。
東京都の条例(東京都紛争防止条例・負担区分ルール)では、換気扇の清掃については「賃借人が通常の清掃を怠った場合はその費用を賃借人が負担する」と明示されており、毎月1回程度の清掃記録があると退去時の反論根拠になります。
まず、フィルターの汚れや詰まりが原因ではないかを確認します。フィルターを取り出して清掃・交換しても改善しない場合、ブレーカーのトリップ(電気系統の問題)がないか確認します。それでも改善しなければ設備そのものの故障と判断できます。
口頭ではなくメールやLINEなどテキスト記録が残る手段で連絡します。「○月○日頃から換気扇が動かなくなった、フィルター清掃済みでも改善なし」と具体的に伝え、写真を添付して修繕を依頼します。
貸主負担の場合、大家・管理会社が業者を手配して修繕します。借主が自己判断で業者に依頼すると費用回収ができないことがあるため、必ず管理会社の指示を仰いでから動きましょう。
貸主が修繕義務を履行しない場合、民法611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)に基づき、家賃の減額を申し出ることができます。著しく長期間放置される場合は、借主が自ら修繕して費用を貸主に求償できる場合もあります(民法607条の2)。この場合も、先に書面で催告し、一定期間(2週間程度)経過後に自己修繕に踏み切るという手順を踏むことが重要です。
トラブルを防ぐため、入居時のチェックシートに換気扇・レンジフードの状態を記録しましょう。
これらを確認し、写真を撮影して管理会社にメールで送付することをお勧めします。入居前の状態を記録しておくことで、退去時に「入居前からの不具合だった」という主張が可能になり、不当な原状回復費用の請求を防ぐことができます。
異音の原因によります。経年劣化によるベアリングの摩耗やファンのゆがみは貸主負担が原則です。ただし、フィルター詰まりによるモーターへの過負荷が原因の場合は借主負担になる可能性があります。まず清掃してから管理会社に報告しましょう。
入居直後であれば、入居前から故障していた可能性が高く、貸主の責任です。ただし、「入居直後に確認した」という記録(メールなど)が重要です。速やかに管理会社に連絡しましょう。
原則として、貸主の許可なく設備の交換・改造を行うことは禁止されています(賃貸借契約の用法遵守義務)。自己判断で交換すると、退去時に「原状回復費用」として請求される可能性があります。必ず管理会社に相談してから動きましょう。
換気扇・レンジフードの寿命は一般に10〜15年程度です。寿命による故障・交換は経年劣化にあたるため、交換費用は貸主負担が原則です。借主負担になるのは、清掃怠慢や無理な使用で寿命を著しく縮めたと判断される場合に限られます。
フィルターの清掃・交換と、手の届く範囲のカバー・羽根の清掃までが借主の「通常の清掃」の範囲です。天井埋込ダクト式の内部分解やダクト内部の清掃は借主の義務ではありません。無理に分解すると破損時に借主負担となるため、内部の不調は管理会社に依頼してください。
換気扇・レンジフードの修繕費用負担は、「なぜ故障したか」によって決まります。経年劣化・自然故障は貸主負担、清掃怠慢から生じた故障は借主負担が原則です。異音の段階で清掃と記録・報告を済ませておくと、故障に進行した場合も負担争いを避けやすくなります。入居中は定期清掃(月1回程度)の習慣をつけ、故障時は速やかに書面で管理会社へ連絡することがトラブル予防の鍵です。入居前・退去時の記録習慣が、不当な費用請求から自分を守る最大の武器になります。
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