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金利上昇が賃貸市場に与える影響――借主が知っておくべき2026年の住宅市場変化

2026-09-16

日本銀行の利上げ政策により、住宅ローン金利が上昇しています。「持ち家を買えない層」が賃貸市場に流入する一方、家賃にも変化の兆しが。本記事では金利上昇が賃貸市場に与える具体的な影響を解説します。

金利上昇が賃貸市場に与える影響――借主が知っておくべき2026年の住宅市場変化
#金利上昇#賃貸市場#住宅ローン#家賃#賃貸vs購入#不動産市場
森

監修: 森 信幸エムアセッツ株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士(宮城県 第018212号)

目次

  1. 01住宅ローン金利上昇で「買えない層」が賃貸に流入する
  2. 02賃貸物件の家賃は上がるのか?
  3. 03建設コスト上昇が新築賃貸物件の希少性を高める
  4. 04賃貸 vs 購入の判断基準が変わる
  5. 05変動金利で借りている既存ローン保有者が賃貸市場に与える影響
  6. 06賃貸物件探しで金利上昇局面に意識すべきポイント
  7. 07まとめ――金利上昇で賃貸の「ポジション」を見直す時代に

2024年以降、日本銀行がマイナス金利政策を解除し段階的な利上げに踏み切ったことで、日本の住宅市場は大きな転換点を迎えています。住宅ローン金利の上昇は「家を買う」という選択を難しくする一方で、賃貸市場にも様々な形で波及しています。賃貸物件を探している方、あるいは今後の住まいを考えている方に向けて、金利上昇が賃貸市場にどう影響するかを整理します。

住宅ローン金利上昇で「買えない層」が賃貸に流入する

金利上昇の最も直接的な賃貸市場への影響は、「住宅を購入できなくなった層が賃貸に留まる・移行する」という需要変化です。

変動金利型住宅ローンの基準となる短期プライムレートが上昇すると、毎月の返済額が増加します。例えば、3,500万円を35年ローンで借りた場合、金利が0.5%から1.5%に上がると月々の返済額は約9,000円増加します。購入を検討していた世帯が「やはり今は賃貸の方が安全」と判断するケースが増え、賃貸需要が底堅く推移する傾向があります。

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これは賃貸物件を探す側にとっては「競争が激しくなる可能性がある」ことを意味します。特に都市部の利便性が高いエリアでは、賃貸需要が高止まりしやすい状況が続くことが予想されます。

賃貸物件の家賃は上がるのか?

需要が増えれば家賃が上がるという経済原則は正しいですが、現実はより複雑です。日本の賃貸市場では、以下の要因が家賃の上昇を抑制する方向に働きます。

家賃上昇を抑制する要因:

  • •総戸数ベースでは賃貸住宅の供給過多傾向が続いている(空室率が全国平均で高止まり)
  • •地方都市では人口減少で需要が構造的に減少している
  • •既存入居者の家賃値上げは慣習的に難しく、新規募集時のみ価格改定できる

家賃上昇が起きやすいエリア・物件:

  • •都市部の駅近・利便性の高い物件
  • •新築・築浅物件(建設コスト上昇分が転嫁されやすい)
  • •需要が集中する1K・1LDKの単身者向け

2026年現在、都市部の新築物件を中心に緩やかな家賃上昇が確認されていますが、築古物件や地方物件は依然として需給緩和状態が続いています。

建設コスト上昇が新築賃貸物件の希少性を高める

金利上昇と並行して、資材費・人件費の高騰による建設コストの上昇も賃貸市場に影響を与えています。新築マンション・アパートの建設コストが上がると、大家・不動産投資家の新規着工意欲が低下し、新築賃貸物件の供給が絞られます。

供給が減れば新築物件の希少性が高まり、特に設備の充実した新築・築浅賃貸は強気の家賃設定が可能になります。一方で、築古物件との価格差が広がることで、「新築は高すぎる」と感じる入居希望者が増え、中古物件市場に流れる動きも起きます。

賃貸 vs 購入の判断基準が変わる

金利上昇局面では、「賃貸と購入のどちらが得か」という比較計算の答えが変わります。一般的に、低金利時代は「購入の方がトータルコストが安い」という結論になりやすかったのですが、金利が上がると購入コストが増大し、賃貸の相対的なメリットが高まります。

ただし、賃貸・購入の比較は単純な月額費用だけでなく、以下の要素を考慮する必要があります。

  • •住む期間の長さ:短期(5年以下)なら賃貸が有利、長期(15年以上)なら購入が有利になりやすい
  • •物件の資産価値の変動:値上がりエリアなら購入が有利、人口減少エリアでは資産価値下落リスクあり
  • •生活の柔軟性:転勤・転職・ライフスタイル変化が予見されるなら賃貸の自由度が重要
  • •固定費以外のコスト:購入には修繕積立金・管理費・固定資産税が継続的にかかる

金利上昇局面だからこそ、「今すぐ買わなければ」という焦りではなく、冷静なライフプランに基づいた判断が重要です。

変動金利で借りている既存ローン保有者が賃貸市場に与える影響

既に変動金利型住宅ローンで家を買っている世帯が「返済が苦しくなり売却・賃貸転換」するケースも増加しつつあります。いわゆる「やむを得ない売却」物件が増えると、不動産価格に下押し圧力がかかる可能性があります。

一方で、自宅を売却して賃貸に移行する世帯が増えれば、それだけ賃貸需要も上乗せされます。この層は、元持ち家であることから「設備水準・管理状態の良い物件」を求める傾向があり、賃貸物件の質に対する目が厳しい入居者層として知られています。

賃貸物件探しで金利上昇局面に意識すべきポイント

賃貸を検討している方が、金利上昇局面で意識すべき実践的なポイントをまとめます。

物件探しの戦略:

  • •都市部の新築人気物件は競争が激化しやすいため、内覧から申し込みまでのスピードが重要
  • •築20〜30年の物件でもリノベーション済みのものは設備・価格のバランスが良い選択肢
  • •大家・管理会社の財務健全性にも注意(金利上昇で資金繰りが厳しくなり管理が雑になるケースも)

家賃交渉の余地:

  • •空室が多いエリア・物件では、礼金免除や家賃交渉の余地が依然として存在する
  • •長期入居意向を示すことで条件改善につながるケースがある

まとめ――金利上昇で賃貸の「ポジション」を見直す時代に

金利上昇は「住宅を買う人」だけの問題ではなく、賃貸市場にも多面的な影響を与えています。需要増による競争激化、新築物件の希少化と家賃上昇、賃貸vs購入の比較軸の変化――これらを理解した上で、自分のライフプランに合った住まいの判断をすることが重要です。

「今は賃貸でいいのか、購入すべき時期なのか」という問いに普遍的な答えはありません。しかし、市場の変化を正確に把握した上で判断することが、後悔のない住まい選びにつながります。金利環境と賃貸市場の動向に引き続き注目していきましょう。

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