2020年4月1日、約120年ぶりに大改正された民法が施行されました。この改正は、私たちの日常生活に直結する賃貸借契約にも大きな影響を与えています。「何が変わったのか知らなかった」「改正前の契約はどうなるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、改正民法が賃貸借契約に与えた主な変更点と、借主として押さえておくべきポイントを解説します。
改正民法の全体像——なぜ改正されたのか
今回の民法改正の主な目的は、時代の変化に合わせたルールの整備と、判例・実務慣行の法律への明文化です。賃貸借に関しては、これまで「判例(裁判所の過去の判断)」や「国土交通省のガイドライン」で定められていたルールが法律として明文化されたケースが多くあります。
改正前は「ガイドラインには書いてあるけど法律には書いていない」という状態で、貸主と借主の間で認識のズレが生じやすい状況でした。改正民法により法的根拠が明確になったことで、トラブル発生時の解決がより明快になっています。
敷金のルールが明文化——返還義務と控除できる費用の基準
改正前の民法にも「敷金」という言葉は出てきましたが(旧316条・旧619条2項)、敷金の定義や返還の時期・範囲を定めた規定はなく、そのルールは判例に委ねられていました。改正民法では、敷金のルールが以下のように明文化されました(民法第622条の2)。
敷金の定義 敷金とは「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。つまり、礼金という名目でも実質が担保なら敷金として扱われる可能性があります。



