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安全・防災

賃貸物件の水害リスク確認ガイド【完全版】

2026-04-16

近年の豪雨・台風被害の増加により、賃貸物件選びで水害リスクの確認は欠かせない作業となりました。ハザードマップの読み方から現地確認のコツ、万一の被害時の対応まで、賃貸不動産のプロが実践的な方法を解説します。

賃貸物件の水害リスク確認ガイド【完全版】
#水害#浸水#ハザードマップ#水害リスク#防災
森

監修: 森 信幸エムアセッツ株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士(宮城県 第018212号)

目次

  1. 01なぜ今、水害リスクの確認が重要なのか
  2. 02ハザードマップポータルサイトの使い方
  3. 03洪水リスク
  4. 04内水(ないすい)リスク
  5. 05高潮リスク
  6. 06土砂災害リスク
  7. 07不動産屋での説明義務(2020年義務化)を活用する
  8. 081階・地下室が特に高リスクな理由と対策
  9. 091階の注意点
  10. 10地下室・地下住居の注意点
  11. 11実践的な備え
  12. 12物件の立地から水害リスクを見抜くコツ
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  • 13低地・周辺より低い場所に注意
  • 14河川・水路からの距離
  • 15旧地名・地名チェック
  • 16地盤・地質の確認
  • 17浸水被害が発生したときの対応
  • 18緊急時の優先行動
  • 19大家・管理会社への連絡
  • 20家財保険の請求
  • なぜ今、水害リスクの確認が重要なのか

    近年、日本各地で記録的な豪雨や台風による水害が頻発しています。気候変動の影響もあり、「100年に一度」と言われた大雨が数年おきに発生するようになった地域も少なくありません。

    賃貸物件に住んでいる場合、浸水被害は家財の損失だけでなく、仮住まいの費用や引越し費用など、想定外の出費につながることがあります。しかも、賃貸物件の建物自体の損害は基本的に大家が負担しますが、入居者の家財は自分で守る必要があります。

    物件を選ぶ段階でリスクを把握しておくことが、後悔しない賃貸選びの第一歩です。


    ハザードマップポータルサイトの使い方

    国土交通省が運営するハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)は、水害リスクを調べる上で最も信頼できる無料ツールです。住所や地図上の操作で、以下の4種類のリスクを確認できます。

    洪水リスク

    河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域と、その深さを色分けで表示します。「0.5m未満」から「5m以上」まで段階があり、色が濃いほど深く浸水するリスクがあります。1階の床上浸水が起きる目安は約0.5m以上です。

    内水(ないすい)リスク

    河川の氾濫ではなく、下水道や排水設備の処理能力を超えた雨水があふれる「内水氾濫」のリスクです。都市部や低地では洪水マップに表示されない場所でも内水被害が起きることがあるため、必ず合わせて確認しましょう。

    高潮リスク

    海岸に近い物件を検討する場合は高潮リスクも重要です。台風による高潮は数メートルに達することもあります。

    土砂災害リスク

    山や丘の斜面近くの物件では、大雨による土砂崩れや土石流のリスクを確認します。「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」と「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」の2段階があり、レッドゾーン内の物件は特に注意が必要です。避難計画の立て方は 賃貸住まいの防災計画:ハザードマップ確認・避難リュック・家具固定の完全ガイド にまとめています。

    確認手順: サイトにアクセス→「重ねるハザードマップ」を選択→地名や住所で検索→各リスクのレイヤーを重ねて表示


    不動産屋での説明義務(2020年義務化)を活用する

    2020年8月、宅地建物取引業法の施行規則が改正され、不動産会社は賃貸・売買の契約前に水害ハザードマップを使った説明を行うことが義務付けられました。具体的には、重要事項説明の中で、対象物件がハザードマップ上のどの位置にあるかを示す必要があります。

    この説明を受ける際に確認すべきポイントは以下の通りです。

    • •浸水想定区域に含まれているか:区域外であっても「区域外だから安全」ではなく、内水リスクは別途確認する
    • •浸水深(しんすいしん)はどのくらいか:1階の床面がどの深さに相当するか担当者に質問する
    • •避難場所はどこか:最寄りの指定避難所の場所と経路を確認しておく

    担当者からハザードマップの説明がなかった場合は、積極的に「ハザードマップを見せてください」と申し出てください。義務化されているため、正当な要求です。


    1階・地下室が特に高リスクな理由と対策

    浸水被害は階数によってリスクに大きな差があります。

    1階の注意点

    洪水や内水氾濫が発生した場合、最初に被害を受けるのは1階です。床下浸水(床面まで達しない)でも、壁の中に水が入ることで建物にカビが発生し、長期間にわたる健康被害につながることがあります。ドアの外まで水が来れば開閉が困難になり、逃げ遅れるリスクもあります。

    地下室・地下住居の注意点

    都市部のマンションや雑居ビルの地下住居は、浸水が始まると急激に水位が上がり、脱出が非常に困難になる場合があります。2019年の台風19号では各地で地下浸水による被害が報告されました。ハザードマップで浸水リスクがある地域の地下住居は、緊急時の脱出経路を必ず事前に確認してください。

    実践的な備え

    • •家財保険(火災保険の水災特約)への加入:入居時に加入する火災保険に「水災補償」が含まれているか確認する。含まれていない場合は追加を検討する
    • •水のう(みずのう)の準備:100円均一でも入手できる土嚢袋や、市販の吸水土嚢はドア下部からの浸水を遅らせる効果がある
    • •貴重品・家電の高所保管:浸水リスクが高い季節は、重要書類や精密機器を棚の上段に置く習慣をつける

    物件の立地から水害リスクを見抜くコツ

    ハザードマップだけでなく、現地確認や地名調査でもリスクを読み取れます。

    低地・周辺より低い場所に注意

    物件周辺を歩いてみて、道路や近隣の建物より「へこんでいる」場所にある物件は雨水が集まりやすい環境です。坂の下、交差点の窪み、高架下なども要注意ポイントです。

    河川・水路からの距離

    地図で近隣の川や用水路の位置を確認しましょう。見えない地下水路が近くを流れていることもあります。Googleマップの航空写真で確認すると把握しやすいです。

    旧地名・地名チェック

    日本の地名には、その土地の地形や水に関する歴史が反映されているものがあります。「沼」「池」「谷(や・たに)」「川」「橋」「浜」「洲(す)」「潟(かた)」などを含む地名や、かつてそう呼ばれていた地域は、もともと水が集まりやすい地形だった可能性があります。自治体の図書館や国土地理院の旧版地図でも確認できます。

    地盤・地質の確認

    国土交通省の「地盤情報サイト」や、各自治体が公開している地質図でも情報を得られます。埋め立て地や元水田は地盤が軟弱で、浸水しやすい傾向があります。


    浸水被害が発生したときの対応

    万一、入居中の物件が浸水した場合の対応手順を知っておきましょう。

    緊急時の優先行動

    1. 身の安全を最優先に避難する
    2. 可能であれば電気のブレーカーを落とす(感電防止)
    3. 大家または管理会社に速やかに連絡する

    大家・管理会社への連絡

    浸水被害の状況を写真や動画で記録してから連絡することが重要です。建物の修繕(床・壁の補修、乾燥作業)は大家の責任で行われますが、対応の速さは物件によって異なります。連絡が遅い場合は管理会社へ改めて催促しましょう。

    家財保険の請求

    加入している火災保険に水災補償が含まれている場合、家財の損害を補償請求できます。具体的な申請の流れは 台風・大雨後の賃貸物件トラブル対処と火災保険申請の完全ガイド で手順ごとに解説しています。

    • •保険会社に「水災で被害を受けた」旨を連絡する
    • •被害状況の写真・動画を保存しておく(処分前に必ず撮影)
    • •罹災証明書(りさいしょうめいしょ)を市区町村役場で取得する(請求時に必要な場合がある。取得方法は 罹災証明書の取得方法と保険請求フロー を参照)

    水災補償は「損害額が保険金額の30%以上」など一定条件を満たす場合に支払われる保険が多いため、契約内容を事前に確認しておくことが大切です。


    水害リスクは「運」ではなく、事前の情報収集で大きく軽減できます。物件を内見する際にはハザードマップを開き、担当者への質問リストに水害に関する項目を加える習慣をつけましょう。備えあれば憂いなし——賢い賃貸選びの第一歩は、足元のリスクを知ることから始まります。

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