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賃貸物件の内見では間取りや収納の広さに目が行きがちですが、「床の状態」は住み始めてから最も「知っておきたかった」と感じる要素のひとつです。床の傾きや軋みは単なる不快感にとどまらず、建物の構造的問題を示すサインである場合があります。
わずかな傾きでも日常生活に影響します。
生活への影響
構造的な問題のサイン
一般的に、3/1,000(1mで3mm)以上の勾配は「建物の欠陥」として認定されるケースがあります。
持参したビー玉をフローリングに置き、動く方向を確認します。スマートフォンの「水準器」アプリでも代替可能で、±0.5度以上の傾きは要注意です。
部屋全体をゆっくり歩き、傾きを体感します。特に床の中央と端の高低差を意識してください。
ドアの開閉がスムーズかどうかも重要な指標です。「自然に閉まる(または開く)」場合、建物の傾きや歪みが影響している可能性があります。反対に「ドアが引っかかる」「枠との隙間が均一でない」場合も要注意です。建具の建てつけは建物の歪みを反映することが多いため、全ての扉・収納扉を開閉して確認する習慣をつけましょう。
軋み(きしみ)は音の発生原因によって以下に分類されます。
フローリング材が乾燥・収縮して伸縮するのが原因です。特に冬季の暖房使用時に多く発生します。フローリングの継ぎ目に滑り剤(床鳴り防止スプレー)を注入することで改善できる場合があります。
床の下地材(根太・合板)が劣化・変形して発生する軋みです。踏むたびにきしみ、特定の位置で毎回同じ音が鳴る場合は構造的問題の可能性があります。修繕には床材の剥がし工事が必要なケースもあります。
一軒家や木造アパートの1階で発生しやすい深刻な問題です。床を踏むとスポンジのように柔らかく沈む感触があり、腐食臭が伴う場合はシロアリ被害を疑います。
RC造マンションでは、コンクリートスラブと仕上げ材(フローリング)の間に空気層があると、歩行時に「パコパコ」という音が発生することがあります。これは構造的な欠陥ではない場合がほとんどですが、気になる方は内見時に確認することをおすすめします。遮音フロア材の有無が音の伝わり方に影響します。
内見時に床の傾き・軋みに気付いた場合、以下の方法で対応しましょう。
確認・質問のポイント
入居前の修繕要求 軋みや傾きが確認された場合、入居前に修繕を条件とした交渉が可能です。修繕が困難な場合は、家賃交渉(減額)の根拠にもなります。
入居時のチェックシート記録 既存の傷や床の状態は必ずチェックシートに記録し、写真も撮影しておきます。退去時に「最初からの傷か入居中の損傷か」の証明になります。
入居後に傾き・軋みを発見した場合は、発見次第管理会社に書面で連絡します。口頭だけでは記録が残らないため、必ずメールかLINE等で文字に残すことが重要です。
賃貸物件の設備修繕は貸主(大家)の義務です(民法606条)。傾きによって生活に支障が生じている場合は、修繕の請求が法的に認められています。修繕を拒否された場合や対応が遅延している場合は、各都道府県の「賃貸住宅管理業者登録制度」窓口や消費者相談センターに相談できます。
傾きが著しく生活に支障をきたす場合は、法的な対応も選択肢に入ります。
賃料減額請求:民法611条により、賃借物の一部が使用できない場合(傾きによる家具の転倒等)、その割合に応じて賃料が当然に減額されます(2020年民法改正)。
契約解除:傾きが極めて深刻で生活が不可能な場合、賃貸借契約の解除を申し出ることができます。ただし大家側の修繕への誠意ある対応があった場合は、一定期間待つことが求められる場合もあります。
敷金返還への影響:退去時、入居前から存在した傾き・軋みが原因の損傷は借主の負担にはなりません。入居時の記録(写真・チェックシート)が重要な証拠となります。
Q:少しの傾きでも問題になりますか? A:傾きの程度によります。ビー玉がゆっくり転がる程度(3/1,000未満)であれば生活に大きな支障が出ない場合もありますが、明らかに転がる(6/1,000以上)ようであれば構造的な問題として管理会社への報告が推奨されます。
Q:軋みは入居者が自分で直せますか? A:表層的な軋み(フローリングの乾燥収縮)であれば、市販の床鳴り防止スプレーで改善できる場合があります。ただし管理会社への事前連絡なく補修剤を使用すると退去時にトラブルになる可能性があるため、事前に相談しましょう。構造的な軋みは大家側の修繕義務の範疇です。
Q:新築物件でも軋みや傾きは起きますか? A:施工精度によっては新築でも軋みが発生するケースがあります。また建物の「初期沈下」として引き渡し後に微小な変形が生じることもあります。新築でも内見時の確認を怠らないことが大切です。
床の傾きと軋みは、見た目では分かりにくく「慣れれば大丈夫」と甘く見がちです。しかし構造的な問題である場合は住環境と資産価値(家賃)に直結し、放置するとカビ・シロアリ被害が拡大する危険もあります。内見時に5分間床の確認に使うことで、住んでから後悔するリスクを大幅に下げることができます。スマートフォンの水準器アプリを活用した簡単なチェックを習慣にしてください。
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