ホーム コラム 費用・お金 賃貸の省エネ性能表示と光熱費削減——ZEH・断熱等級・エネルギー効率で年間3万円以上節約する選び方 費用・お金 賃貸の省エネ性能表示と光熱費削減——ZEH・断熱等級・エネルギー効率で年間3万円以上節約する選び方 2026-06-01 2024年4月から、新築の建物を販売・賃貸する広告に国の省エネ性能ラベルを表示する制度が始まりました。ZEH・断熱等級・一次エネルギー消費量の見方を理解することで、光熱費を年間3万円以上削減できる物件を見極める方法を解説します。
森
監修: 森 信幸 エムアセッツ株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
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BELS(ベルス)とは何か BELSは建物の省エネ性能を第三者が評価して表示する制度です。2024年4月からのラベルでは、エネルギー消費性能を国の省エネ基準からの削減率に応じた★の数で示し、再エネ設備のない住宅は5段階、再エネ設備のある住宅は7段階で、★が多いほど省エネ性能が高くなります。不動産サイトで物件情報を見ると、この星の数が表示されるようになっています。
★5の物件(いわゆるZEH「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」)は、太陽光パネル と高断熱で、年間の一次エネルギー消費がゼロに近い物件です。★4は高断熱で光熱費が年間30%以上削減される水準です。★3は平均的な新築物件レベルで、光熱費削減効果は10~20%です。
★2以下の物件は、建築基準法 は満たしていますが、省エネ効果はほぼ期待できません。築25年以上の一般的な賃貸物件の多くが該当します。
断熱等級で見極める——等級4~7の実際の差 BELSと並んで重要なのが「断熱等級」です。2022年に断熱等級5〜7が新設され、等級は7段階に拡張されました。
等級4 :2022年までの「最高等級」で、2026年時点では「平均的」と位置づけられています。外壁・窓・床の断熱性能 は一定基準を満たしていますが、最新の省エネ物件と比べると見劣りします。築10年前後の新しい物件がこのレベルです。
等級5 :等級4より20%以上性能が高く、冬場の暖房費が顕著に削減されます。2022年以降の新築物件の多くがこのレベルを目指しています。光熱費削減効果は年間1~1.5万円程度です。
等級6 :等級5からさらに25%高く、最新の高断熱建材・トリプルサッシ・外張り断熱を使用している物件です。年間光熱費削減効果は2~2.5万円です。
等級7 :パッシブハウス基準に近い超高断熱で、冬の暖房費がほぼ不要になる水準です。ただし賃貸ではほぼ存在せず、一部の新築モデル物件に限定されます。
等級4と等級6を比較すると、冬場の暖房費で月1,500~2,000円、年間2~2.5万円の差が出ます。家賃が月1,000~2,000円高くても、断熱等級が高い物件を選ぶ方が生涯支出では得になるケースが多いのです。
一次エネルギー消費量の読み方 BELSの基準になるのが「一次エネルギー消費量」で、単位は「MJ/年」(メガジュール)です。この数字が低いほど、光熱費が安く済みます。
ただし「一次エネルギー」は電力の発電過程での損失を含めた計算のため、実際の光熱費との直結はしません。参考値として考え、実際の冬季・夏季の暖房・冷房費は、建物の断熱等級や日当たりもあわせて判断しましょう。
賃貸物件選びで優先すべき省エネ指標 賃貸選びで何を優先するかは、季節と立地で異なります。
北日本(北海道・東北)では断熱性能が最優先 です。冬の暖房費が年間10~15万円に達するため、等級5以上で年間3~4万円削減できる効果は大きいです。たとえ家賃が月2,000円高くても、年間24,000円の家賃増より光熱費削減(年間30,000~40,000円)の方が得になります。
南日本(九州・沖縄)では遮熱性能が優先 です。夏場の冷房費削減を重視しましょう。南向きで日中の日射を遮る深い軒や、遮熱フィルム施工済みの物件を選ぶ方が、冷房費削減効果は大きいです。
東日本の都市部 (東京・大阪・名古屋 )では断熱・遮熱のバランス です。BELS ★4程度あれば、冬夏通じて年間2~3万円の光熱費削減が見込めます。
窓の種類で判断する実践的な方法 BELS認定を受けていない物件でも、「窓の種類」を見ることで省エネ性が推測できます。
単層ガラス(一般的な古い物件) :断熱性ゼロで、冬は外気温がそのまま室内に伝わります。光熱費削減は期待できません。
複層ガラス (一般的な新築物件) :2枚のガラスの間に空気層があり、単層ガラスより格段に断熱性が高いです。築10年以内の物件なら大多数が複層ガラスです。
Low-E複層ガラス :特殊なコーティングで赤外線を反射し、冬の室内熱が逃げにくく、夏の外部熱が入りにくいです。等級5以上の物件の多くが採用しており、見た目では通常ガラスと変わりません。
トリプルサッシ(3層ガラス) :北日本の高断熱物件で採用されており、複層ガラスより約30%断熱性が高いです。ただし賃貸ではまだ稀です。
内見時に窓を見て「複層ガラスか?」「サッシはアルミか樹脂か?」を確認することで、ある程度の省エネレベルが判断できます。
光熱費削減の実例——物件比較 東京の月家賃10万円の1Kで、2つの物件を比較してみましょう。
物件A:築15年、BELS ★2、単層ガラス
冬場の暖房費:月8,000円(1月・2月)、通年光熱費:月6,500円
年間光熱費:約78,000円
物件B:築3年、BELS ★4、複層Low-Eガラス
冬場の暖房費:月5,000円(1月・2月)、通年光熱費:月4,500円
年間光熱費:約54,000円
差額は年間24,000円です。物件Bの家賃が月1,500円高いとしても、年間18,000円の家賃増で24,000円の光熱費削減が得られるため、総支出では6,000円浮く計算になります。
太陽光パネル・EV充電器付き物件のメリット 近年は、太陽光 パネルやEV充電器を備えた賃貸物件も増えてきています。太陽光パネル付き物件なら、昼間の電力をほぼ自給でき、月の電気代 を3,000~5,000円削減できます。
ただし「太陽光で発電した電力を借主が無制限に使える」という契約なのか、「発電分は大家に返納」という契約なのか、必ず確認が必要です。前者なら大幅な電気代削減が可能です。
省エネ物件選びのチェックリスト BELS等級が★3以上か :スマホで物件番号を検索し、ポータルサイトで確認できます。窓は複層ガラスか、できればLow-E加工か :窓を見て光の反射状況を確認します。外壁に断熱材が見えるか :リノベーション物件 なら改装前の写真をチェック。暖房・冷房の種類 :エアコン1台か?床暖房か?パネルヒーターか?省エネ性に影響します。結露の跡がないか :窓枠や壁に結露跡があれば、実は断熱不足の可能性があります。前の入居者の光熱費領収書を大家に確認できるか :最も直接的な判定方法です。
まとめ 新築物件の広告に省エネ性能ラベルが載るようになり、省エネ物件を賃貸選びの段階で見極めることが容易になりました。★3以上・等級4以上・複層Low-Eガラスといった条件を満たす物件なら、年間2~4万円の光熱費削減が期待でき、生涯支出で大きな差が生まれます。今後の賃貸選びでは、家賃だけでなく省エネ性能も重要な判断基準として組み込むことをお勧めします。
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