新居の入居日と旧居の退去日がずれると家賃が二重払いになります。重複日数を最小化する交渉・スケジュール術と、発生した場合の費用計算方法を解説します。

監修: 森 信幸エムアセッツ株式会社 代表取締役 / 宅地建物取引士(宮城県 第018212号)
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引越しで最も見落とされがちなコストが「二重家賃」です。旧居の契約は解約通知を出してから1〜2ヶ月後まで継続し、新居は入居日から家賃が発生します。この両者の期間が重なると、同じ月に二つの住居の家賃を払う状況が生まれます。
例えば、旧居を7月末に退去するつもりで6月1日に解約通知を出したとします。解約予告が1ヶ月前必要な契約なら7月31日で終了します。新居の入居日が7月15日なら、7月15〜31日の17日間は両方の家賃が発生します。1ヶ月の家賃が7万円なら約4万円の二重払いです。
この記事では、この二重期間をゼロまたは最短にするための具体的な段取りを解説します。
賃貸借契約書に必ず記載されている「解約予告期間」を確認します。一般的には1ヶ月前ですが、物件によっては2ヶ月前や3ヶ月前を定めているケースもあります。
解約予告を出すタイミングが早すぎると、退去予定日が来ても引越し先が決まっていないという状況になります。逆に遅すぎると解約予告期間の家賃(予告日から退去日まで)が余分に発生します。
物件によっては「月初めからしか契約できない」という条件があり、月の途中に入居しても月初から日割り計算で請求されることがあります。
最も確実な方法は、旧居の退去日と新居の入居可能日を同じ日に設定することです。
新居の仲介担当者に「○月○日から入居できますか」と確認し、可能であれば旧居の解約通知をその日に合わせて逆算します。例えば解約予告1ヶ月前の契約なら、新居入居日の1ヶ月前に解約通知を提出します。
新居の入居日が月の中旬だと、その月の日割り家賃と翌月の家賃が同月内に発生することがあります。入居日を月の最終日(31日など)に設定できれば、翌月1日から1ヶ月分の支払いがスタートし、中途半端な日割り計算を避けられます。
仲介担当者に「月末入居は可能ですか」と相談してみましょう。前入居者が月末退去の場合は鍵の受け渡しが1〜2日ずれることもありますが、交渉次第で日割り調整ができることがあります。
解約通知を出す日付を1日変えるだけで、旧居の家賃が発生する最終日が変わります。例えば6月20日に通知を出すと翌月20日が退去期限、6月1日に出すと7月1日が退去期限(1ヶ月前条件の場合)となります。
引越し日は柔軟に設定できるケースが多いため、新居の入居日が確定したら旧居の退去期限の解約通知日を逆算して提出するのがポイントです。
物件によっては入居前の「フリーレント(一定期間の家賃無料)」を交渉できます。例えば「旧居の解約が○月末なので、新居は○月15日から入居しますが、月末まではフリーレントにしてもらえませんか」という交渉が成立するケースがあります。
空室期間が長い物件や入居を急いでいるオーナーの場合は応じてもらいやすいです。内見後の申込み段階で仲介担当者を通じて打診してみましょう。
解約予告期間が2ヶ月前の物件で「1ヶ月前に退去したい」という場合、管理会社に相談すると応じてもらえることがあります。特に次の入居者がすでに決まっている場合は双方にとって早期退去が都合よいため、交渉の余地があります。
ただし違約金条項がある場合は差し引き計算が必要です。違約金が1ヶ月分家賃相当であれば、早期退去のメリットと釣り合わないこともあります。
どうしても重複が避けられない場合、実際にいくらかかるかを正確に計算しておくことが重要です。
日割り家賃の計算式: 月額家賃 ÷ 月の日数 × 重複日数
例えば旧居の家賃が月6万5千円で、7月15日〜7月31日(17日間)が二重期間の場合:
これに新居の日割り家賃(新居が7月15日入居・月7万円なら約38,387円)を合算すると、二重期間(17日間)の住居費合計は約74,000円になります。この金額を事前に把握しておくことで、引越し予算に組み込んで準備できます。
旧居を早めに解約してホテルや週払いアパートメントで数日〜1週間過ごすほうが、二重家賃より安くなる場合があります。
例えば旧居の家賃が8万円で1週間分(約2万円)の二重家賃が発生するケースと、ホテルに1万円/泊で5泊する5万円を比較すると、二重家賃のほうが安くなります。旧居の解約を10日早めて2万6,000円の家賃を節約できても、ホテル代5万円のほうが約2万4,000円高くつきます。状況によってどちらが得かを計算して判断しましょう。
二重家賃を完全にゼロにするのが理想ですが、引越しのタイミングや物件の条件によっては多少の重複は避けられません。大切なのは発生額を事前に把握し、予算に組み込んでおくことです。
この4ステップを守ることで、引越し費用の「見えないコスト」を最小化できます。
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